エネルギー転換へのチリ養豚業界の貢献と航空機へのバイオガス燃料利用の事例

2023年5月27日

再生可能エネルギーは、大気中のCO2削減において、益々重要性を増している。チリの養豚業界は、バイオ燃料生成のための有機廃棄物であるバイオマスの利用を通して、それに貢献しようとしている。バイオマスの利用は、より持続可能な経 […]

再生可能エネルギーは、大気中のCO2削減において、益々重要性を増している。チリの養豚業界は、バイオ燃料生成のための有機廃棄物であるバイオマスの利用を通して、それに貢献しようとしている。バイオマスの利用は、より持続可能な経済の導入にあたり鍵となるものだ。まだチリの養豚業界に、同様の燃料を得るためのバイオガスからバイオメタンへの精製を行うプラントが存在しないものの、エコ燃料の発展に向けて大きな潜在力を有している。ただ、エコ燃料の発展には、他のセクターとの相乗効果が必要だ。

現在、航空業界は、気候問題への不安感が募る中、世界的に大きな課題に直面している。その意味で、2022年、米国のクリーン・エネルギー会社フルクラム・バイオエナジーは、低炭素の原油を生産する最初の商用施設として画期的な成果を成し遂げた。この低炭素原油は、“持続可能な航空燃料”(英語の頭文字をとって、SAFと略称)に精製された。この革新的な技術は、家庭ゴミを輸送用の再生燃料に変えるのである。これにより、ごみ処理場での廃棄物を減らせるだけでなく、輸送におけるクリーン燃料の利用につながることから、温室効果ガスの排出も削減できる。

ごみ処理場、農業、排水処理施設からの廃棄物により得られたバイオガスメタンの生成プロセスは、航空機に使われる化石燃料に、低炭素という選択肢を提供している。こうした廃棄物は、紙吹雪(コンフェティ)に似た小さな原料に変えられ、その後、一酸化炭素と水素分子の混合物である合成ガスにされる。この合成ガスが、フィッシャー・トロプシュ法により、航空機用の液体燃料となるのだ。

バイオガスのメタンの回収と持続可能な航空燃料(SAF)への変換は、CO2排出を削減し、効率的に資源を利用、そして、化石燃料に比べて温室効果ガスの発生を少なくすることができる。

我が国では、チリ食肉輸出協会チリカルネが、企業の技術・エネルギー・環境トランスフォーメーションに努めており、バイオ燃料として利用できる豚のふん尿の処理技術の利用を促している。こうした技術は、温室効果ガスやアンモニアの排出量を削減することにより長期的に持続可能な生産を可能にすると同時に、操業を地元の地域社会と両立させることにもつながる。

チリカルネのサステナビリティ部長ダニエラ・アルバレスは、ここ10年間にチリの養豚業界で実施されたアクションの有益な影響について強調し、「ふん尿からバイオガスを生産することのできるバイオダイジェスターのような技術のお蔭で、最近20年間において、豚1頭からの温室効果ガスの排出を26%削減することができました。現在、養豚場に設置されている19のバイオダイジェスターによって生成されたバイオガスは、大部分が、再生可能発電、家畜およびバイオダイジェスター自体の暖房用ボイラー、もしくは、飼料のペレット化に利用されています。まだチリには、バイオガスからバイオメタンへの精製を行うプラントがないものの、特に他のセクターとの相乗効果を考慮すれば、石油の消費量削減に役立ち、循環経済に貢献するエコ燃料の発展に向けて大きな潜在力を有しています」と指摘した。

これに関し、バイオ燃料の利用を促すイニシアチブを生み出すために強化すべき必要なことを考える場合、豚肉生産企業の“コンシャス・オリジン・チリ”プログラムへの参加が、温室効果ガスの課題に取り組み、将来を考えるための具体的な機会を、そうした企業に提供することになる。“豚プロトコール”認証のレベル2を選ぶ企業は、報告書の作成と組織のカーボンフットプリントの定量化のための能力を身につけることができ、それによって後に、温室効果ガス削減計画を実施することができるようになる。同様に、環境省により推進されている“チリ・フットプリント”プログラムも、ワークショップや認定マーク、汚染物質の排出・移転記録を通して、企業にこうしたアクションの履行をサポートしている。

「チリの養豚業界として、温室効果ガス、特に、CO2排出の即時大幅削減を達成するためのエネルギー転換に参加しなければならないと確信しています。それゆえ、私たちは、既に私たちが実施している、つまり、継続的に測定し、認証をしているアクション以上に、世界の気候中立目標にさらに貢献でき、エコ燃料がキーポイントとなる新たな連携に対して、オープンに耳を傾けるつもりです」とダニエラ・アルバレスを締めくくった。

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