チリカルネ・トークスは、“雌豚のグループ妊娠システムへの移行を、先行したブラジルの手法から探る”という重要なテーマで、一連のトークイベントを終えた

2024年12月6日

最後のトークイベントは、雌豚のグループ妊娠システムへの移行のため25年という期限を定める規範指示113/2020の実施以降、ブラジルがたどった道のりはどのようなものだったのかを探るものだった。こうした経験は、チリにとって […]

最後のトークイベントは、雌豚のグループ妊娠システムへの移行のため25年という期限を定める規範指示113/2020の実施以降、ブラジルがたどった道のりはどのようなものだったのかを探るものだった。こうした経験は、チリにとって、特に、業界の競争力を失うことなく、食肉生産におけるアニマル・ウェルフェアの新たな世界的要求に対応するプロセスにおいて、貴重な資料である。

 

チリカルネは、最後に、“雌豚のグループ妊娠システムへの移行を、先行したブラジルの手法から探る”という、食肉の生産輸出セクターにとって極めて重要なテーマに焦点を当て、一連の技術トークイベント“チリカルネ・トークス”を終えた。12月5日にラス・コンデスの協会オフィスで行われたトークイベントには、ブラジル農牧畜研究社(EMBRAPA)の著名な研究員であるオスマル・ダラ・コスタ博士が出席した。

 

チリカルネのイノベーション・開発プロジェクト長で、この国際的専門家のチリ訪問の責任者であるマティアス・アンドラデは、「雌豚妊娠時のグループ養豚舎への移行においてブラジルのような他国の経験はどのようなものだったかを知ることができれば、私たちは、このプロセスによってもたらされ、この対策によって中小生産者が変更のコストを負担することができず閉鎖を余儀なくされるといった影響がないよう官民の協力と取り組みが必要となる大きな困難について情報を得ることができます。そうした規模の変更を行う際には、我が国が国際的に競争力を失わないよう、特に、食の主権を保つことができるよう保証するため、期限を適切にして、実施しなければなりません」と指摘した。

 

ダラ・コスタ博士は、様々なチリカルネ加盟企業の代表者からなる聴衆と、妊娠ゲージ・システムからグループ養豚舎への移行においてブラジルが直面する課題についての経験を共有した。

 

妊娠ゲージからグループ養豚舎への移行について、主な課題や難しい点はなんでしょうか?

主な課題は、生産コストです。プロセスが進まないまた別の要因は、使える資金の問題です。ブラジルでは、すべての移行プロセスはゆっくりと進んでいって、人々は、この現実に対応しなければなりません。

 

このことは、民間セクターのイニシアチブに促され、およそ2014年に始まりました。移行を発表した最初の企業は、サディア(Sadia)、現在のBRFです。彼らは、移行を完了するために12年という期限を設定しました。その時、政府がこの変更を助けるために、もっと資金、もしくは、補助金を出してくれるという期待がありましたが、そうはなりませんでした。

 

現在、企業は、ピラミッド・システムの下で作業しています。異なる出所の家畜が混ざらないように、分娩養豚場は、豚を一つの育成場に送り、その後、一つの肥育場に送っています。10年前、分娩養豚場には平均して、400から500の母豚がいました。移行によって農場の規模が大きくなり、平均で1,200頭になっています。これにより、改築や拡張をしなければならなくなり、追加の資金調達が必要になって、生産コストが増加しました。

 

例えば、以前は、コストがキロ当たり3ドルだったとすると、投資の後には、5ドルまで増えることもあり得ました。しかし、この増加が最終消費者に転嫁されることはありませんでした。民間セクターがこれらのコストを吸収したのです。

 

ここ数年、ブラジルの養豚産業は金融危機に直面しています。これにより、多くの生産者が投資するのを延期しました。ここ2、3年、単にもう投資するのがイヤになって、もっと良い時期を待つことにした生産者もあります。

 

これらが、養豚舎システムの移行に見られる主な問題です。

 

こうした移行を進める動機は何ですか?

ブラジルでは、養豚業の80%から90%は、垂直統合されています。これはつまり、大企業が生産規則を決め、生産者がそれを履行しなければならないということを意味しています。そうしなければ、生産チェーンから排除されるリスクが出てきます。

 

こうした移行は、完全に自発的なプロセスではないのです。企業が10年、15年、20年と目標を定め、生産者は、生産を続けるためにそれに対応しなければなりません。独立した小規模生産者の場合には、プロセスはさらに難しくなります。なぜなら、彼らは、直接的にコストを負担しなければならないからです。

 

こうした移行を、政府または公的機関がどのようにサポートできるでしょうか?

政府が支援できる最良の方法は、助成付き融資枠を提供することです。理想的な世界では、こうすることによって、プロセスが大きく進むでしょう。しかし、ブラジルでは、助成付き融資はそれほど多くありません。

 

政府や研究機関が行ったことは、生産者や設備メーカーのためにセミナーや技術会議を開催したことです。こうしたイベントでは、アニマル・ウェルフェアやグループシステム、そして、死亡率の増加や妊娠率の低下といった直面する課題についての情報が提供されるのです。

 

こうしたイニシアチブは、知識を普及し、業界の様々な関係者が行っている方法を示すことに役立ちました。政府のサポートは、資金面というより、もっと技術的、教育的なものでした。

 

貿易の面では、アニマル・ウェルフェアはまだ、食肉製品の輸出入にとって必要条件ではありません。この状況は今後どのように展開すると思いますか?

企業は、アニマル・ウェルフェアに投資をし始めましたが、それを興味深いと考えたからではありません。マクドナルドやカルフールといった大手の購買企業がそれを要求したからです。こうした顧客が、「アニマル・ウェルフェアの原則を履行したら、買います」と言い始めたのです。

 

これは、人道的な屠畜から始まり、次に輸送について、そして、最後に養豚舎システムへと広がったのです。最初は支払われる金額が増えることもあり得たとしても、時の経過と共に、“アニマル・ウェルフェアを実践しないなら、あなたの製品を販売するのがもっと難しくなりますよ”と言うほどに、当たり前のことになるだろうと思います。私は、これが生産者へ支払われる金額が増えることを意味しているとは思いません。ただ単に、市場にアクセスしやすくなるというだけです。

 

こうしたことは、今後どのように続いていくでしょうか?

マクドナルドのような大手の購買企業が、アニマル・ウェルフェアを履行する製品に、より多くの金額を支払うかどうかについて情報を持ち合わせていません。それは、取引上の秘密です。

 

起こることは、NGOが活動を始め、企業が投資するということです。なぜなら、こうした団体が金融市場に警報を鳴らすからです。アニマル・ウェルフェアに投資をしない企業は、資金提供をするのに信頼できないと言うのです。これは、株式市場でのイメージダウンにつながり、それによって資金調達が難しくなります。

 

自動車のシートベルトで起きたことと似ています。最初は、3点固定のシートベルトは珍しく、値段も、より高かったのですが、今ではそれが義務となっています。アニマル・ウェルフェアでもそれと似たことが起こるのです。

 

妊娠ゲージの利用や尾の切断、焼き印といった行為は、より近代的な方法に入れ替わりつつあります。例えば、5セント高くなるかもしれませんが、トレーサビリティ電子装置が使われています。

 

時の経過と共に、こうした実践は、規則になっていくでしょう。

 

この最後の話で、チリカルネ・トークスの第9回が終了した。これは、抗微生物薬耐性、サステナビリティ、アニマル・ウェルフェアといった業界にとって重要なテーマについての情報更新や議論の場になることを目的として協会が推進したイベントである。こうしたアプローチは、国際市場や消費者の高まるニーズに沿った持続可能な生産システムへ移行する必要性が迫っていることに対応するものである。

 

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