ラボバンク2023:食肉生産業界は、課題と機会の中で成長を予測しなければならないだろう

2023年1月23日

ラボバンクがその報告書“2023年グローバル・アニマル・プロテイン・アウトルック(食肉業界の世界展望)”で予測していることによれば、豚肉産業を含め食肉産業全般として、サプライ・チェーン全体を通してのコスト高、消費の変化、 […]

ラボバンクがその報告書“2023年グローバル・アニマル・プロテイン・アウトルック(食肉業界の世界展望)”で予測していることによれば、豚肉産業を含め食肉産業全般として、サプライ・チェーン全体を通してのコスト高、消費の変化、さらに、病気のさらなる影響や規制および市場に促されての変化といった生産者へのその他不確実要素に直面することになるだろう。

世界レベルでの食肉生産業に関するラボバンク報告書“ラボリサーチ・フード&アグリビジネス”は、同産業の企業は、2023年を自社の成長展望と計画を再検討するための年と考えなければならないだろうと指摘している。なぜなら、有利になるのは、効率的な生産・加工業者であり、機敏な企業、為替動向により恩恵を受ける輸出業者、そして、バイオセキュリティのプロトコルを有する生産業者だからである。

ラボバンクによれば、この年は主に、消費パターンの変化、バイオセキュリティのリスクや損失管理の試み、サステナビリティ報告書の作成、低い利益マージンと高い資材価格といった要因によって決定づけられるだろうとし、こうしたすべては、食肉生産業全般、特に豚肉生産業に影響を及ぼすことになるだろうとしている。

「チリの豚肉生産・輸出産業は、現在急を要する課題に長年取り組み、改革を続けてきました。規制の変更に備え、バイオセキュリティやサステナビリティの先駆者となることで、他の多くの国々よりも良いシナリオを描くことができています。なぜなら、私たちの企業は、ラボバンクの報告書で2023年の優先課題とされるものの多くを、何年も前から生産の中に取り入れてきました。それゆえ、機会と課題を利用しながら成長することのできる、レジリエントな産業であり続けるという確信を持っています」と、世界各地でチリ産豚肉の業界ブランドとして知られるチリポークを代表する協会チリカルネ会長のフアン・カルロス・ドミンゲスは述べている。

消費パターンの変更(多元的)

資材のコスト高                         2023年                        バイオセキュリティ

                                                                                            (アフリカ豚熱)

飼料やまぐさ価格の高騰                                                 サステナビリティ

                                                                                             (温室効果ガスの軽減)

消費パターンの変化

ラボバンクによれば、2023年、価格に対する消費者の反応は、多くの人たちが予想するよりもっと複雑だろうとしている。消費パターンは、多くの要因によって決定づけられ、価格はその一つに過ぎないと報告書は指摘している。消費者の信頼、家計収入、雇用、家計への政府補助パッケージの影響、代替食品の価格、これらすべては、食肉消費パターンを形作る重要な要素である。オランダの銀行ラボバンクの報告書によれば、典型的な反応と共に、いつくか新たな動きが見られることになり、それが消費パターンの形成に影響を与えるだろうとしている。

バイオセキュリティの課題は、2023年も継続するだろう

アフリカ豚熱(ASF)といった病気は、マスコミのヘッドラインに取り上げられる健康課題であり、そのため、豚肉産業は、鍵となる地域での生産損失や引き起こされる不確実性によるコスト上昇を考え、リスクをコントロールするための努力を強化することになるだろう。

2023年、同産業は、事後に対応するのではなく、先を見越した病害管理へと移行するだろう。ラボバンクは、農場における移動や作業間の家畜の不必要な動きを制限する追加的な対策が取り入れられていると指摘している。しかし、その採用率は地域によってバラツキが続いている。生産者団体と政府は、実効的な緩和戦略へのより良い理解を全体的に推し進め、支援しており、それが、そうした対策の導入を加速するはずである。予測技術へのさらなる投資が、健康に関する損害を抑えることに役立つことになるだろう。

報告書は、同産業が、もっとも高いコストにも関わらず、家畜の保護に投資を続けるであろうと強調している。病気発生の影響を抑えるための方策として一般化している殺処分は、関係者すべてにとって高いコストを要する問題である。政府レベルで病気に対応する費用が増加していることは、制御のための資金が限られている発展途上国においては、特に大きな課題となり得るだろう。こうした制限から、2023年は、現在の手法を再検討し、予防的・予測的技術への投資を加速しなければならないだろう。

2023年サステナビリティ報告書

ラボバンクによれば、2023年はサステナビリティ報告書の測定と提示において大きな進展があることが予想される。温室効果ガスの排出削減目標は、現在、主な生産地域において設定されており、その焦点は、測定し、報告し得る活動へと移行しつつある。このことは、世界経済が減速すると同時に起こっている。それゆえ、食肉のサプライ・チェーンは、こうしたテーマに関して消費者のより大きな信頼が設定されるにつれて、排出削減への投資のリターンを見出す追加的な課題に直面している。従って、報告書によれば、2023年、排出認証の枠組みは、サプライ・チェーンを考慮するだけでなく、農場レベルの認証や製品のラベル貼付も設定するまでに、対象を拡大し始めることが予想される。

2023年の価格とマージン

ラボバンクは、飼料やまぐさの価格は、2023年を通して、高値で推移すると予測している。穀物や油糧種子の世界価格は、需要の増加、供給への持続的な不安、増大する地政的不確実性により、2020年5月から2022年5月の間にほぼ倍増(+94%)している。ラボバンクは、2023年の価格が、比較的こうした高いレベルのレンジで維持されるものと予測している。と言うのも、もっとも最近反転をもたらした主たる要因が手つかずのままだからである。

ラボバンクによれば、ウクライナの状況や他国のロシアに対する制限方法が、生産、取引、消費に圧力をかけるだろうとしている。また別の決定づける要因は、マクロ経済環境である。つまり、さらに高い利子率や、高インフレの中、消費者へコスト転嫁をしづらい状況が継続するだろう。また、政府の介入も影響を与えることになるだろう。政府は、増大するコストを管理し、消費への圧力を緩和するため、家計への支援の提供を継続する可能性が高い。

2023年資材コスト高

「“2023年グローバル・アニマル・プロテイン・アウトルック(食肉業界の世界展望)”」は、飼料、エネルギー、肥料、輸送費、金融、人件費などのコスト高といった、2022年に食肉のサプライ・チェーンが直面したコストの増加は、2023年も継続する可能性が高いと指摘している。

飼料のコストは、特に欧州では、エネルギー価格と同様、高いレベルで維持されるだろう。エネルギー価格の高騰は、サプライ・チェーン全体で、スパイラル効果を及ぼし、肥料の供給や価格に悪影響をもたらす。その結果、穀物や油糧種子の生産に影響を与えることになる。飼料工場や家畜生産者なども、直接的に価格上昇の影響を受けることになる。パッカーや加工業者も、こうした影響を感じるだろう。なぜなら、資材価格の上昇や購買力の低下に直面することになるだろうからである。

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