今後の食品産業の発展にとって鍵となる競争力

2023年2月28日

輸出食品産業は、11%増の215億6,700万ドルに達する輸出額を記録して2022年を終えた。このようにして、持続的成長期を揺るぎないものとし、上回るのは「銅」だけという、チリの第2の輸出産業となったのである。特に我々の […]

輸出食品産業は、11%増の215億6,700万ドルに達する輸出額を記録して2022年を終えた。このようにして、持続的成長期を揺るぎないものとし、上回るのは「銅」だけという、チリの第2の輸出産業となったのである。特に我々の産業、つまり、ホワイトミート産業は、13億800万ドルの輸出額に達し、サーモン、生鮮果実、ワインに続く食品第4位の輸出産業となった。

なぜチリが、チリおよび世界の数多くの消費者に健康的で安全な製品を届ける、世界クラスの食品供給国として地位を固めることができたのか、その理由を思い起こすことが重要である。地中海性気候と季節が北半球と逆であることは、重要な要因である。病虫害の侵入を妨げる自然の障壁や我が国の衛生面での遺産を絶えず保つ努力をしてきたことも、産業の発展において決定的なことだ。

チリの通商開放政策は、我々の産業の発展にとって基本的なことだった。つまり、我々の製品を販売するための市場の多様化を意味し、また、食品生産の発展にとって同じ、もしくは、より良い条件を有する、何倍も大国で、相手先市場により近い国々と対抗できるようにするため、我々が高い競争力を持つことを強いるものでもあった。イノベーションと共に資源の効率的な利用、そして、新たな技術や知識の導入が、ホワイトミートの生産・輸出の発展の鍵となってきた。ここ数年において、持続可能な生産をしようとする様々な産業の努力は、食品の生産と販売において我々がトップであり続けるための決定的な要因となっている。

これまで述べたすべてが、輸出食品産業の成功の大部分を説明するものであり、また、それら各々のテーマにおいて取り組みを続けることが、我々が発展を続けるために基本的なことであるというのに疑問の余地はない。加えて、ロジスティクスや灌漑のインフラへの投資が促進され、世界クラスの食品供給国としてチリの立場を固めることにさらに投資されれば、食品産業は、チリやその国民の発展に役立つものであり続けるだろう。

ただ、特に懸念される要素もある。それは多くの場合忘れがちになるのであるが、我々の産業の将来的発展のために大きなリスクの一つとなり得るものである。それは、競争力を失うことだ。

現在チリは、世界すべての大陸の180か国以上に食品を供給している。これを、極めて競争の激しい環境の中で行っている。多くの国々がまだ自国の生産業を固く守ろうとし、そうした恒常的な保護主義政策に我々は直面しているとしても、現実は、益々国際市場への参入は増え、競争は激しくなっている。

競争に勝ち抜くためには、差別化しなければならない。ただ、この差別化が競争力を失うことにならないよう、特に注意すべきである。

TPP11の批准に関する議論は、ともするとすぐに他の市場に対して競争力を失うことになりかねないという良い例である。問題は、協定を批准することでどれだけ利益を得るかではなく、批准をしないことによって、我々の競合国に莫大なメリットを与え、どれほど多くを失うかだったのだ。

また別の良い例は、国内の規制である。一般的には、すべての規制は生産規格を向上させることを目指すものであったり、消費者からの新たなニーズに対応するようにするためのものなのだが、こうした変更は一般的に、生産者にとっては多大な努力を意味する。生産者はいつもその投資額が報いられるとは思わない。もっと悪い場合、それによって得た物は唯一、多くの競合国の企業が負担していない追加コストを被ることで競争力を失ってしまうことだと、まもなく気づくのである。我々の産業において、最近官報で公布された養豚業への新たな悪臭対策基準は、国内の養豚業者、特に、中小の養豚業者に対して、途方もない努力を求めることになるだろう。我々の競合国の企業は、同様に規制されるのだろうか?つまり、逆に考えて、他国からチリに入ってくる豚肉には、国内で生産された豚肉と同じことが要求されるのだろうか?もしそうでないなら、素晴らしく良いことであるものの、国内生産者に及ぼす結果を考慮していないものであることになり、競争力を失うという落とし穴にはまることになるだろう。

産業として、益々持続可能な生産へと向かっていくことに対応できなければならないというのは明らかである。それに疑問の余地はないし、既にかなりの努力がなされている。訴えたいのは、変革の度が過ぎないこと、良いことに向けて取り組みをするが、常に自国の生産者を気遣うことである。そして、食品生産業を益々持続可能で、我が国の発展に寄与し続ける産業として強固にするため、官民が手を携え、調整して取り組みを続けることである。

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