GDPに占める貿易の割合が60%を超えるチリにとって戦略的なEXPO 2025

2025年1月27日

チリは、大阪・関西万博(EXPO)2025で輝きを放つための準備ができている。チリの万博参加では、食肉輸出セクターを始めとする産業の持続可能性、イノベーション、品質おけるリーダーシップが際立つことだろう。パウリナ・ナザル […]

チリは、大阪・関西万博(EXPO)2025で輝きを放つための準備ができている。チリの万博参加では、食肉輸出セクターを始めとする産業の持続可能性、イノベーション、品質おけるリーダーシップが際立つことだろう。パウリナ・ナザル万博チリ政府代表は、国の経済を強化するために、日本でのこうしたイベントがどうして重要なのかを説明している。

 

貿易は、チリの経済にとって主たる柱である。なぜなら、GDP(国内総生産)の60%以上が、輸出によるものだからだ。このデータが、大阪・関西万博(EXPO)2025にチリが参加する重要性を示している。EXPO2025は、日本で4月13日から10月13日まで開催され、貿易関係を強化し、グローバルにプレゼンスを拡大するための戦略的な機会となる。この点から、万博は、チリ経済にとって世界に向けたショーケースであり、また、信頼性や持続可能性、イノベーション、品質によって抜きん出る食肉セクターのような先導的セクターが注目される理想的な機会となる。

 

パウリナ・ナザルは、大阪・関西万博2025のチリ政府代表であり、対日公式代表者であり、また、チリの同イベント参加の総責任者である。貿易政策において20年以上の経験を持ち、2016年から2018年まで、チリの国際経済関係局(現・国際経済関係次官官房)局長を務めた。任命されるまでは、国際コンサルタントおよび外務省の外交政策顧問、また、カトリック大学のCIEUC専門家パネルなどを担当していた。国際的な分野での経歴を持つパウリナは、チリの参加をコーディネートし、要となる提携を取り決め、そして、公的、民間、そして、市民社会の関係者の取りまとめを促すことが主に含まれるこの役割を果たすために選ばれた。

 

この全世界的なイベントのためにチリのスタッフを率いてすべてを組織する責任者であるパウリナは、通商面だけでなく外交および政治面においても、チリにとって、このイベントと日本市場が重要であることを強調している。「日本は、チリが最も古くから外交関係を保っているアジアの国で、1897年から127年の歴史があります。我が国にとって、第3位の貿易相手国で、世界第4位の経済大国、また、チリにおけるアジアの主要投資国です。我が国の万博への参加は、世界レベルの輸出国として、引き続きチリを強固にしていくために重要です。こうした関係を強化し、チリの輸出、特に食肉や農業製品といった要となるセクターにおける輸出を増やし、よりサステナブルな世界に関わるクリーンエネルギーといった極めて重要なセクターにおいて我が国のポテンシャルを示すために絶好の機会です」と、ナザルは指摘した。

 

チリ貿易振興局市場情報局(国家税関局のデータ)によれば、日本は、総輸出(2024年82億USドル)と同様、27億USドルを超える銅・リチウム以外の製品の輸出においても、チリの経済にとって重要な位置を占めている。世界の、そして、アジアでは第2位の経済大国とみなされている日本は、ビジネス、イノベーション、先端技術のグローバルなプラットフォームだ。主に鉱業、林業、漁業、養殖業、通信、グローバルサービスといった産業を通して、チリに最も多くの資本をもたらしているアジアの国である。

 

大規模イベント

この万国博覧会は、3000万人以上の来場者を見込んでいて、その内350万人が、主にアジアからの外国人としている。“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマに、万博は各国に、その特徴やこの本質的な問いかけへの貢献を示すようにと促している。

 

その枠組みにおいて、チリは、「マクン:人々を包むチリの織物(Makün:El Manto de Chile)」をテーマに、万博の“いのちを救う(Saving Lives)”エリアの戦略的な場所に自国パビリオンで出展し、その際立った存在感を示そうとしている。チリの参加は、我が国の文化と自然の豊かさを想起させるこのコンセプトが中心となる。チリは、自国の輸出品をプロモーションし、通商および文化的関係を強化するためにこの国際的なプラットフォームを活用することになる。そうして、アジア市場でのチリのプレゼンスを強固にし、主要なセクターにおけるチリのリーダーとしてのポジションをあらためて確かなものにしようとしている。

 

食肉セクター:チリの戦略における主要な柱

 

国の経済そして万博の参加において重要な役割を果たすセクターの一つが、食肉である。チリは、食肉の品質と信頼性により国際的に認められていて、特に豚肉は、中国、韓国、フィリピン、日本といったアジア市場で重要な地位を占めている。

 

このことから、万博の期間、チリの食肉セクターは、安全で、病気がなく、環境に対して責任ある方法で食肉の生産をするチリの取り組みを強調しようとしている。「食肉セクターが、持続可能性のためにどのように進展したのかを示したいと思います。“コンシャス・オリジン・チリ(‘Chile Origen Consciente‘)プログラムは、その良い例です。それには、高いサステナビリティ基準とその履行、そして、特に官民協力により、農産食品産業の持続可能性を促そうとするチリカルネのような生産業界団体が参加しています」とナザルは強調している。そして、「世界に衛生面での危機的状況がある中、トレーサビリティやアニマル・ウェルフェア、食品バイオセキュリティへのコミットメントは、チリの食肉セクターを際立たせる重要な側面でしょう」と付け加えている。

 

持続可能性は、万博全体を貫くテーマであり、チリ・パビリオンに参加するすべての産業は、エネルギートランスフォーメーションや、家畜、水、チリウム、グリーン水素、持続可能な鉱業といった天然資源の責任ある生産など、我が国の大きな進歩について焦点を当てるだろう。天文学も、チリが世界的に秀でているセクターの一つで、万博では注目を集め、重要なプレゼンスを示すことになるだろう。そこでは、世界でもっともピュアで澄んだ空、そして、日本のような国際機関と協力して研究をしているチリ北部にある天文学センターや天文台が紹介される予定だ。

 

日本人のわずか10%しか、チリについて知らない

 

大阪・関西万博2025へのチリ参加の大きな目的の一つは、日本でチリを広く知ってもらうことである。政府代表によれば、「チリを知っているのは、日本国民のわずか10%です。このことは、この市場においてチリの露出度を高める必要性があることを示しています。私たちがやっていること、そして、成し遂げていることを人々に知ってもらいたいと思っています。私たちの目的は、そのパーセンテージを増やし、日本におけるチリ・ブランドのポジショニングを改善することです。それこそが、チリ・イメージ基金と手を携えて取り組んでいることです」とナザルは説明している。大阪・関西万博のようなイベントは、この目的を達するために決定的に重要である。なぜなら、二国間関係を強化し、その他参加国との戦略的な提携創出の助けとなるからである。「私たちは、日本、および、その他参加国との戦略的提携を生み出すため、それぞれの機会を利用したいと思います」と、ナザルは指摘し、ビジネスの新たな機会を開くための原動力として、イベント期間中の企業家や代表団の交流を強調した。

 

「幸せな生き方とは何か?」、大阪・関西万博2025が提起する主たる問いかけであり、チリは、道は、品質、相互信頼、より責任ある未来へのコミットメントにあると示している。この問いかけに答えるには、こうした全世界的なイベントへのチリの参加が、商業的な展示以上のものであることを理解することである。つまり、それは、革新し、持続可能性を推進し、グローバルなプレゼンスを強化するチリの力を公に示すことである。チリ・ブランドを強固にし、戦略的ポジショニングを確かなものとしながら、国際的なシーンに足跡を残す唯一の機会だ。チリカルネのような主たるセクターの後押しを得て、チリは、あらゆる国々が、より結びつき、相互に協力をする世界の中で注目を浴びるための準備ができている。

 

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