CPTPP発効後ほぼ1年が経過、チリが日本市場での地位を強化

2024年1月20日

世界的な課題が目立つ年、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定”CPTPP”は、チリの生産者にとって強力なビジネス・サポーターとなった。2023年2月21日に発効して以降、協定の10番目のメンバーとなった […]

世界的な課題が目立つ年、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定”CPTPP”は、チリの生産者にとって強力なビジネス・サポーターとなった。2023221日に発効して以降、協定の10番目のメンバーとなったチリにおいては、輸出、特に豚肉産業の輸出が大きく促されることとなった。

世界で三番目に大きな自由貿易協定であるCPTPPは、アジア太平洋の11か国が参加するもので、関税障壁の低減と輸出の迅速化を促す役割を担っている。この協定は、労働、ジェンダー、環境面での改善を促進するもので、経済的な前進だけでなく、持続可能で責任ある貿易を実現することへのコミットメントも示している。

チリの豚肉産業、特に豚肉の輸出は、協定で大きく恩恵を受けたものの一つである。CPTPPによってチリは、日本において特権関税を受けることになり、こうした恩恵を既に享受していた競合国と同じ土俵に立つことができるようになった。チリが、米国農務省(USDA)によるランキングで世界第5位の豚肉輸出国であり、日本においては、第6位の豚肉供給国であることを考えると、このことは極めて重要だ。

「日本は、協定加盟国の中で、より大きな関税メリットを提供する国の一つです。1000以上の関税品目で優遇があり、そのほぼ89%が、農畜産品、漁獲・養殖品に集中しています。豚肉以外の例としては、ハチミツがあります。ハチミツは、2025年に、日本に関税なしで輸出することができるようになります。その他の例としては、ミカンやトマトソースがあります」と、駐日チリ商務・農務担当官のヌリ・ディセグニ・ヒリは述べている。

2023年は、生産コスト高や地政学的な不確実性により、課題の多い年だった。しかしながら、チリの豚肉産業は、病気のない恵まれた衛生条件や世界で最も広範な自由貿易協定網により、こうした障害をうまくかわすことができた。自由貿易協定網は、CPTPPにより、さらに強化された。

指摘すべきは、日本が、豚肉を輸出するチリの生産者にとって第2位の輸出先国であることで、協定の成果は明らかである。2023年12月までに、豚肉の日本への輸出は、数量にして29%、金額にして19%増え、38,000トン、1億5,200万ドルに達している。こうした数字を見るだけで、ホワイトミートの生産・輸出企業や国の発展にとって協定がいかに重要であるかが分かる。

「CPTPP発効の初年度は、チリにとって日本市場における画期的な年となりました。この協定のお蔭で、日本での特恵関税を獲得することができ、メキシコやカナダといった主要な競合国と条件を同じにすることができました。この恩恵は、課題が多い年には、決定的に重要でした。日本へのチリ産豚肉の輸出を維持するだけでなく、飛躍的に増やすことができたのです。この増加は、チリの生産・輸出企業に対するこの協定の重要性を明確に示しており、ホワイトミートの国際市場でのチリの強さや成長ポテンシャルをあらためて確認することになりました。私たちは2024年と2025年大阪万博に期待しています。CPTPPの恩恵をより一層高め、日本市場といった有望な市場で私たちのプレゼンスを強化するために準備はできています」と、世界の様々な国でチリ産豚肉の業界ブランドとして知られるチリポークを代表する協会チリカルネの会長フアン・カルロス・ドミンゲスはコメントした。

日本市場を分析すると、日本は、世界の経済シーンで、要となる役割を果たす国としてその立場を強化していることが分かる。2022年のGDPは4兆5,780億ドルで、米国、中国に続く世界第3位の経済大国である。

日本は、3万6,415ドルと一人当たりの国民所得が高く、年間平均給与も4万2,554ドルで際立っている。さらに、失業率も2.4%と世界で最も低く、また、2022年のインフレ率は、2%以下と抑えられている。こうした数字から、日本は、高い購買力を持つ市場として位置づけられる。

食肉の分野では、年間660万トンを超える消費量を持つ、世界で7番目に大きな市場として浮上している。特に豚肉は、極めて興味深い。年間260万トン近くに及ぶ、世界最大の消費国の一つであるにもかかわらず、国内生産量は、著しく少ない(130万トン)。このことは、豚肉輸出業者にとって大きなチャンスがあることを示している。

強調すべきは、日本が、豚肉については、51%しか自給できていないことである。2022年の豚肉の一人当たりの消費量は、20.3キロに達し、鶏肉に続いて2番目に多く消費されている。日本における豚肉産業のこの状況は、日本が、拡大しつつある、海外の輸出企業にとっては極めて有望な市場であることを示唆している。

CPTPP発効後、国際経済関係次官官房(Subrei)は、原産地規則と関税引き下げのスケジュールを履行すれば、2,930の関税品目が関税の追加削減を得て、特恵関税により輸出することができるだろうと予測した。同様に、CPTPPは、アジア・太平洋地域の国々とチリとの貿易を増やして、通商規則も現状に沿ったものとし、より機敏で迅速な輸出を確かなものとしている。

出所:日本市場の数字は、スペインのINTERPORCによる。

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