TPP11への参加はさらなる可能性を広げる

2021年1月14日

MF(国際通貨基金)と世界銀行の最新データによると、日本経済は世界4位でGDP57億1200万米ドル、人口は1億2600万人で、世界11番目に人口が多い国とされている。一人当たりのGDPは40,247米ドル(PPP)。こ […]

MF(国際通貨基金)と世界銀行の最新データによると、日本経済は世界4位でGDP57億1200万米ドル、人口は1億2600万人で、世界11番目に人口が多い国とされている。一人当たりのGDPは40,247米ドル(PPP)。これらの数字だけを見ると、TPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定―CPTPP)に参加することは多くの国にとって得であると考えられる。日本はオーストラリア、カナダ、メキシコ、ニュージーラ

ンド、シンガポール、ベトナムとともに、2018年12月30日に発効したTPP11に参加した7カ国の1つ。加盟国で日本に輸出している業者は市場への参入を促進するために各国が付与した関税の優遇措置を受けており、農業および畜産セクターの関税の高い日本市場へのアクセスがしやすくなるという利益を得ている。
日本の市場規模は小さくない。WTO(世界貿易機構)によると、2019年の日本の輸入総額は7,210億米ドルで、アメリカ、EU、中国に続き世界で4番目に大きい購入国としてランクしている。世界全体の輸入の4%を占めており、TPP11の中で最大の市場であることは疑問の余地がない。
SUBREI(チリ外務省国際経済関係次官官房)最新の報告書「TPP11とチリの経済再活性化におけるその重要性」では、新型コロナウィルスパンデミックによって引き起こされた経済危機は世界中の経済、貿易、バリューチェーンや投資に深刻な影響を及ぼしている。しかしチリが広い地域に輸出を行なっていることで影響は最小限にとどめられている。輸出先の多様化は引き続き行われることが重要であり、急務である、としている。
チリは事実、貿易協定による幅広いネットワークのおかげで輸出をすすめることができ、パンデミックによって引き起こされる影響を減少させることに貢献してきた。現在、世界中、そして国内でおこっている不足の事態とそれに伴う経済的影響を鑑み、輸出は今後も成長回復の重要な役割を果たすと考えられる。
TPPにすでに加盟している7カ国の輸出は大幅に伸びており、またアジア太平洋地域全体で数百万にのぼる企業感の貿易を促進しており、この協定が有効であったことを示している。発効初年だけでもチリと同様の輸出可能な商品を持っているニュージーランド、オーストラリア、カナダなどは加盟国間における輸出の大幅な増加を達成している。例えば:
・オーストラリアの2019年1月〜12月までのTPP11加盟国への輸出を対前年比16%増加 ・ニュージーランドは同様に11%増加 ・カナダも同様に5%増加

TPP11批准に伴う経済への影響
協定発効初年(2019年)1月、加盟国へのチリの輸出は12億5800万ドル、同年12月は8億1100万ドルと36%の減少となった。さらに2018年と比べると7億1100万倍ドル減少している。 減少は主に、肉、乳製品、ワイン、果物、アグリビジネス、林産物、好物、シーフードなどチリと同様の輸出可能な製品をもつ国との競争が激化し、アクセス条件が優れている製品に見られる。チリが輸出を行なったTPP11地域におけるプレゼンスの低下は、参入しやすい条件を持っている製品とチリの製品を比べるとより明白になる。加盟国になっていないことによる競争力の低下は鉱業などチリが以前から持つセクタ

ーだけでなく、農産物、シーフード、林産物などにおいても輸出業者の収益を低下させ、ひいては生産地域での雇用を減少させる。そして国際社会の中で保護主義を悪化させ、最終的にはパンデミックの中、輸出力もなくなり経済が崩壊する、というシナリオが予測できるのである。
チリの輸出業者にとって、TPP11に参加することは日本への農産物の輸出、カナダへの乳製品輸出、ベトナムへのシーフード輸出をはじめとする手厚い保護を受けているセクターへの3000以上のビジネスチャンスを創出することになる。1400以上の工業製品、1000以上の農産品、450以上のシーフードへの輸入関税が撤廃されるからだ。2019年カナダからの冷凍豚肉の輸出は、日本市場に有利な条件で参入できるため9%増加した。一方チリからの日本への輸出は7%減少し、2018年と比べて910万米ドル減ったのである。 世界経済が危機的状況にある今、チリにとってTPP11などの協定を批准し貿易を広げていくことが必要なのだ。

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