チリの養豚セクターは、高い衛生・環境基準を達成し、近代的で競争力のある生産モデルを構築しています。しかしながら、国土計画の包括的基本法が存在せず、農村地域に居住地が拡大していることは、産業の持続可能性に新たな課題を提起しています。生産用地を守り、法的根拠を与え、紛争を未然に防ぐ計画作りを進めることは、現在、長期的な農産食品産業の発展にとって戦略的な条件となっています。
養豚セクターの成長は、基準の継続的な進展を伴ってきました。企業は、臭気排出基準の実施のように、益々厳しくなる環境要件を履行するため、技術や管理、継続的な改善に持続的な投資を行ってきました。“25年間のチリの養豚セクターの持続可能性”の報告書で取り上げられているこのプロセスは、国土計画が現在、持続可能な発展を強化するための構造的な要因として浮上していることを示しています。
「養豚セクターは、益々厳しくなる衛生・環境基準において前進できることを示しました。現在課題は、生産面だけでなく、土地利用の問題にもあります。私たちは、発展と共生を両立させることのできる明確なルールを必要としています」と、チリカルネのサステイナビリティ部長であるダニエラ・アルバレスは指摘しています。
その点について、農村の土地は戦略的な機能を果たしています。つまり、生産システムの物理的な基盤であり、食料安全保障を支え、地域経済を活性化させるものです。その適切な管理は、養豚セクターの競争力だけでなく、すべての農産食品生産チェーンの持続可能性にも影響します。
地域の変容
環境規制が進む中、地域も変化しました。国の様々な地方では、農村地域への居住地の拡大が進み、新たな住宅開発地が、既に定着して現行法制に従って操業されている農業・産業活動の近くに現れることになりました。
この拡大が包括的な国土計画の視点なく起これば、プロジェクトを承認する時までに必ずしも存在していなかった対立が生まれます。ケース毎の評価で、地域の生産適性を事前に定めること、また住宅地の拡大を明確な基準に基づいて導くことの必要性を代用することはできません。計画がなければ、不確実性は増し、地域の共生は難しくなります。
農村地域での規制の課題
チリにはまだ、一貫性を持って都市と農村の開発を調整する国土計画の包括的基本法がありません。現在、法規制は、都市計画・建設一般法によって定められている市街化区域の境界に関して主に構成されている一方、それ以外は、1980年代から施行されている農村地域区画分割制度が適用されています。
その点について、農村地域での区画分割の増加は著しいものがあります。住宅・都市計画省のデータによれば、2021年、農村地域で279,000以上の分割区画が承認されました。その数字は、2022年には33万9,000以上に増えました。これは、わずか1年で増加率が21%以上であることを示しています。こうした持続的な増加から、多くの場合にその累積効果を予測できるような包括的国土計画がないまま行われた現象であることが分かります。
結果は、元々は農業用途で、多くの場合、限定されたインフラしかなく、生産用の土地や水資源により大きな負荷がかかる地域に新たな住宅地が形成されることになりました。
「住宅の増加が無計画になされる時、既存の生産活動との間に軋轢が生じます。また、環境的・社会的影響も発生し、最終的にコミュニティ自体に悪影響を及ぼします」と、ダニエラ・アルバレスは説明しています。
規制の進展と進行中の議論
こうした状況に対して、ここ数年、重要な進展がなされました。農業・牧畜庁(SAG)による2022年の通達475は、土地の農業用途を守りながら、宅地開発固有の特性を組み入れた農村区画分割に関する規制を強化しました。
また、この種の取り組みのために求められる基準を引き上げ、農村地域での宅地開発を規制するための都市計画・建設一般法を修正する法案が、憲法上の第一次手続き段階にあります(公報17006-01)。
並行して、国土地域計画(PROT)が、立地基準を設定し、生産面で影響する地域を定め、そして、将来の拡大の方向性を示すための具体的な機会となっています。しかし、その全面的な運用は、まだ行政上の課題に直面していて、そのことが、まさにより計画が必要される場所で不確実性の余地を残しています。
国際的な経験
経験を比較してみると、予防的国土計画は、生産の発展と生活の質のバランスをとるために要となっていることが分かります。分かりやすい事例は、デンマークです。そのモデルには、一貫性のある長期的な視点の下、国土計画と環境規制が統合されています。
2007年計画法第813号によって規制されているデンマークの国土計画は、戦略的用途として農地を保護し、他とは区別された地域を定め、生産活動と住宅地の間に緩衝地帯を設けるものです。こうした調整は、高いレベルの法的根拠をもたらすと共に、コミュニティと農牧畜生産活動の間に安定した共存を可能にしました。同国が現在、養豚における世界的リーダー国の一つであることは偶然ではないのです。
また、ドイツ、ベルギー、オーストラリア、カナダでの経験は、この考え方を裏付けています。つまり、環境規制は、土地利用の優先順位と密接に関係していて、地域のタイプに応じて差別化された基準があり、そして、多くの場合、あらたな宅地開発に対して既存の操業を保護することが認められています。
例えばオーストラリアのような国々では、“エージェント・オブ・チェンジ(変化を起こす側が適応責任を負う)”の原則により、地域で新たな用途を導入する側が、既存の生産活動の継続を守るため、必要な緩和措置を講じなければならないと定めています。この考え方は、明確に責任分担を定め、将来起こりうるトラブルを低減しています。
こうしたモデルでは、現行の許可が、生産活動に安定をもたらし、その後の環境の変化が、明確な移行のルールなく、共存できない状況を生み出すことのないようにしています。
「これらの経験が示していることは、法的根拠が生産セクターの特権ではなく、投資を呼び込み、対立を減らし、長期的にコミュニティに安定をもたらすための条件なのです」と、ダニエラ・アルバレスは強調しています。
発展を守るために先を見越す
チリにとって、課題は成長にブレーキをかけることではなく、秩序立てることです。法律で認められた生産活動を守る原則に向けて前進し、生産の影響エリアを定め、そして明確な土地利用基準の下で宅地開発の方向付けをすることが、将来のトラブルを避ける必要なステップです。
また、環境規制からだけではなく、土地利用計画の観点からも騒音や臭気のような要因を組み込むことによって、軋轢を減らし、より安定した見通しを示すことができるでしょう。
国土計画を強化することは、単なる法制議論ではありません。生産用地を守り、コミュニティに安定を与え、長期的に養豚セクターおよびチリの農産食料システムの持続可能な発展を強固にするための戦略的な決定なのです。